eコミマップ/技術ノート

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eコミマップを利用しての時系列空間表示(その1:時系列スライダー)

 「eコミマップ」には、マップに登録するデータ(登録情報、主題図)に時間情報を付加することができ、指定した日時に存在するデータのみをマップ表示する機能が用意されています。

 時間情報を付加された登録情報、主題図のマップのレイヤ表示を選択をすると、マップ画面に時系列スライダー(以下スライダーと略)が表示されます(下図、画面中央上)。

 下図例は、主題図(刻々と変化する「降雪量」)の上に登録情報(点、面)を重ねたマップのサンプルです。
 

 

 スライダーにある登録情報の「表示日時を指定」にチェックを入れることで、登録情報の表示日時の変更が可能となります。日時の指定は、日時を表示しているカラム横の▼をクリックして日時選択を行うか、スライダーのつまみを移動することで行います。

 
 スライダーで表示日時を変更することで、登録情報に付加された日時範囲と一致するデータがマップ上に表示されます。
 表示指定日時の変更により登録情報(下図の例ではアイコンデータ(×印))が変化します(画面左下)。すなわちデータの発生、消滅の管理ができるようになっています。

 

 

 

 同じように、時間情報を付加された主題図も、スライダーで選択した日時に最も近い日時のデータが表示され、時間とともに変化します。また「登録情報と連動」にチェックを入れると、「登録情報」に近い主題図が連動して表示されます。

 

 

 

 なお、スライダーは、データが存在する日時は橙色で表示され、マップ表示している日時は青色で表示されます。スライダー横の拡大鏡アイコンをクリックするとスライダーの時間範囲の拡大縮小ができます。また主題図の「期間」にチェックを入れる事で、期間指定で主題図の日時を指定でき、期間に含まれる全てのデータがマップに表示されます。

 

上記で説明した時系列データの管理機能を利用するにあたっては、「eコミマップ」の管理画面で設定が必要となります。

1.「eコミマップ」管理画面で「登録情報」のタブをクリックします。

2.登録情報履歴の設定を行う登録情報の「項目設定」ダイアログを開きます。

3.「時系列管理」の「時系列履歴管理を有効にする」にチェックを入れ「項目を更新」をクリックします。

 

 

4.再度、「項目設定」ダイアログを開き、「時系列管理」が「時系列履歴管理は設定済みです。」と表示されれば設定は完了です。

 

 

「登録情報」のマップ登録と時間データ編集

1.登録情報のレイヤを「項目追加」をクリックし作成し、レイヤ作成後データを登録します。

2.マップ上で登録したデータをクリックして、吹き出しを表示します。吹き出し内のメニューから「時系列履歴一覧」を選択します。

 

 

3.以下の表で時系列履歴の編集を行います。

 

「開始日時」と「終了日時」はマップで表示される日時範囲を設定します。「infinity」はそれ以降、「-infinity」はそれ以前の日時で常に表示されます。日時を変更すると新しいデータとして管理されます。

 

4.「時系列履歴追加・削除」から「登録・編集ウィンドウ」を表示し、データの「履歴追加」、「履歴更新」を行います。「履歴追加」を行う事で履歴の日時範囲が追加されます。

 

 

 主題図設定は少し専門的な知識が必要になります。「主題図」として利用する時系列レイヤは、OGC(地理空間に関する情報の標準化などを推進している非営利団体)が定めたWMS形式で配信されるマップに時間情報を追加して取得を行います。

時系列レイヤについて

eコミマップで利用する時系列レイヤは、OGCのWMS形式で配信される地図に時間情報を追加して取得を行います。

WMS形式で配信するためには別途設定が必要になり(ここでは省略します)、あらかじめ「WMS Capabilities」に時間情報が付加されていること(後述:参考)が必要になります。

 

設定は下記の通り行います。

1.「eコミマップ」管理画面で、作成した地図の主題図項目画面を開きます。

2.時系列情報を持った「WMS Capabilities」が登録された主題図項目の「項目設定」ダイアログを開きます。

3.「再読み込み間隔(秒)」に時系列情報を持った「WMS Capabilities」の更新間隔を記入します。

4.「再読み込み時にレイヤ情報を更新」にチェックを入れて「項目を更新」をクリックします。

 

 

このような時系列管理機能を利用することで、マップ上で、現時点また過去の対応状況を管理する履歴管理マップが作成できます(例えば、災害・事故管理マップ、苦情受付・対応マップなど)また時間遷移のシミュレーション用マップ(津波動的ハザードマップ、アニメーション用マップなど)を作成できます。

 

次回は、「eコミマップ」の時系列管理を利用して作成された三重県・三重大学 みえ防災・減災センターの「津波浸水アニメーション」を具体例として紹介します。

 

 

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<参考資料>

WMS Capabilitiesの時系列空間情報サンプル→ 資料.docx

・ISO8601 https://en.wikipedia.org/wiki/ISO_8601

・OGC Best Practice for using Web Map Services (WMS) with Time-Dependent or Elevation-Dependent Data (1.0)  https://portal.opengeospatial.org/files/?artifact_id=56394


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